別居後のマンション購入と財産分与

《ご相談内容》

私、妻、子ども2人の4人家族です。
妻子とは、離婚の話し合いを前提とした別居が長年続いています。
なかなか話し合いがまとまらず、離婚の成立までにはまだまだ時間がかかりそうです。

  1. 今後のことを考え、マンションを購入したいと考えているのですが、将来的に離婚する際に、この不動産も財産分与の対象となってしまうのでしょうか。
  2. また、仮にマンションを購入した場合、住宅ローンを利用する予定ですので、万が一ローン返済中に私が亡くなった場合、団体信用生命保険によりローン残高が完済されます。この時点でまだ離婚が成立していなければ、やはり今の妻がこのマンションを相続してしまうのでしょうか。

※相談内容は実際の事案をアレンジした架空のものです。

《ご回答》

1 財産分与について

(1)財産分与の基本

離婚の際、夫婦の一方は他方に対し、「財産分与」を求めることができます。

そもそも「財産分与」とは何でしょうか。
テレビや雑誌などでなんとなく聞いたことはあっても、正確に理解されている方は少ないかもしれません。
少しかみ砕いて説明します。

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を清算するための手続です。
清算というのは、要するに「分ける」ということです。

イメージ的には、夫婦の財産を、一つの大きなバケツに全部放り込んで、それを分けるところを想像してください。
実際の財産分与も、基本的にはこのように行います。

「こんまり」こと近藤麻理恵さんによる片付け指南法「こんまりメソッド」では、片付けの最初に「モノの種類別に全てを一箇所に集める」という方法が取られますが、基本的な方法論は似ています。
夫婦財産の清算も、一種の片付けと言えるのかもしれません。

分け方としては、原則として、夫婦2分の1ずつです。
どちらが離婚の原因を作ったかや、子どもの親権はどちらが持つのかなどは、直接関係ありません。
これらの点は、慰謝料や養育費のところで考えることになります。

(2)財産分与の対象

一旦バケツに入れたものは、2分の1に分けることになるわけですから、重要なのは、そもそも「この財産をバケツに入れるのか、入れないのか」という点になります。

こんまり式では、「衣類を全部一か所に集める」「小物類を一か所に集める」という方法をとりますが、財産分与の場合、「婚姻中に協力して形成した財産」をすべてバケツに放り込みます。
バケツに放り込む財産、すなわち夫婦が協力して形成した財産のことを「共有財産」と言ったりします。

この際、夫婦のいずれの名義かは関係ありません。
また、専業主婦(夫)の場合、「一方が外で仕事をし、一方が家庭をみる」という協力関係にあるわけですから、夫(妻)だけが稼いだものであっても、当然に共有財産となります。

(3)財産分与の対象とならない財産

「婚姻中に協力して形成した財産」以外の財産は、財産分与の対象となりません。
これを「特有財産」と言ったりします。

まず、婚姻前から保有している財産は、当然ながら、財産分与の対象とはなりません。
たとえば、結婚前に妻が働いて一生懸命貯めた定期預金などは、財産分与の対象外となります。

次に、協力して形成した財産でないといけませんから、婚姻期間中に増えた財産であっても、たとえば相続や贈与を理由として得た財産は、財産分与の対象とはなりません。

また、離婚を前提に、婚姻共同生活を解消(別居)した後は、もはや財産形成についての協力関係はなく、これも財産分与の対象とはなりません。

このようにして、夫婦の財産すべてについて、「共有財産」か「特有財産」かで分別し、そのうち「共有財産」をすべて一つのバケツに放り込んで、2分の1に分ける。 これが財産分与です。

(4)ご相談内容について

相談者の方が購入するマンションについては、たとえ婚姻中に購入したものであっても、すでに離婚を前提とした別居を開始した後に形成した財産ですから、夫婦が協力して形成した財産とはいえず、マンションそれ自体が財産分与の対象となることはないと考えられます。

ただし、ここで注意が必要なのは、財産分与の趣旨からして、財産分与の対象となるのは、「婚姻共同生活の解消時点」に存在する財産を基準とするということです。

別居が離婚に先行する場合、財産分与の対象財産は、「別居時点」に存在している財産ということになります。

ご相談者の件に関しても、たとえば、別居時点に存在した預金を頭金の支払い等に用いた場合、もしその預金が共有財産に当たるのであれば、これも財産分与の対象として計算に含めることなります。

2 相続について


万が一、離婚成立前にご相談者がお亡くなりになった場合、相続が発生し、妻と子ども2人が相続人となります。

別居中であっても、夫婦の婚姻関係が実質的には破たんしていたとしても、また、ご相談者に同居する別のパートナーがいたとしても、法的に婚姻関係が存続している限り、配偶者は相続人となるのが、現在の法制度です。

相続が発生した場合、基本的に被相続人の財産すべてが相続の対象(遺産)となりますから、マンションなど、ご相談者が別居後に築いた財産を含む遺産についても、妻と子ども2人が相続することになります。

なお、ご相談者は、生前に遺言を作成しておけば、マンションなどの遺産を誰にいくら相続させるのかなどについて、相続内容を指定することができます。
相続人以外の者(同居するパートナーなど)に遺産を取得させるという内容の遺言も可能です。

ただし、子どもはもちろん、離婚が成立していない限り妻に対しても、法律上、遺留分(最低限の取り分)がありますので、遺言を作る際には、この点を考慮した内容とする必要があります。

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