サブリース=転貸借

所有する土地の相続について悩んでいたところ、「賃貸アパートを建設しないか」と電話があった。来訪してもらい話を聞くと、入居者を集め家賃も保証し、修繕管理もしてくれるという。相続税対策になると聞き、その気になって高額な契約をしてしまった。しかし、建築費の融資を受けなければならないし、無理な契約をしたと後悔している。(70歳代 男性)

国民生活センターのメールマガジン(2018年10月23日、第320号)に掲載されていた事例です。
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen320.html

いわゆる「サブリース被害」を取り上げたものです。

サブリース被害については、消費者庁と国交省が、平成30年3月に共同で注意喚起を行っており(つい最近、10月26日に追記更新がなされています。)、その被害が広がっていることを感じさせます。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/

「サブリース」と言われると、やはりカタカナなので身構えてしまい、ことさらに難しい問題と捉えてしまいがちですが(確かに複雑ですが)、つまるところ、「転貸」「又貸し」のことです。
上の事例でいえば、70歳代の男性は、ローンを組んで建物を建築し、それを業者に貸すということでは、通常の賃貸借と異なりません。通常と異なるのは、その賃貸借は、業者がさらに入居者に又貸しすることを予め男性が承諾しているということくらいです。

男性と業者との間の契約は、あくまで賃貸借契約ですから、「借地借家法」が適用され、業者は「賃借人」として手厚い保護を受けます。たとえば・・・
①業者は、家賃が相場に対して不相当に高くなったときは、賃料減額請求(借地借家法32条)を行うことができます(「家賃保証する」って言ったのに・・・)。
②賃貸人である男性が、建物について、最終的な修繕費用を負担することになります(男性は賃貸人として、賃借人である業者に対し修繕義務を負うのです(民法606条)。業者は入居者に対しては賃貸人になので「修繕管理」はするのでしょうが、その費用負担は男性になります。)。
③男性側から業者との賃貸借契約を途中で終了させるのは困難です。たとえば、賃貸人からの期間満了時の更新拒絶は、「正当な事由」がないと認められません(借地借家法28条)。
④男性側がなんとか契約を終了させてくれと業者に頼むと、業者は法外な違約金をふっかけてくることもあります。
などなど。

実体は消費者的な立場である男性よりも明らかに情報の質・量や交渉力で勝る業者側を「賃借人」として扱うことで、男性に多くの不利益を生じる事態になっています。このいびつさを、何とか解消していく方策が求められていると思います。

国交省・消費者庁は、「国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度による登録を受けているサブリース業者は、オーナーに対し、サブリース契約の締結前に、将来の借上げ家賃の変動に係る条件を書面で交付し、一定の実務経験者等が重要事項として説明することなどが義務付けられてい」ることを周知し、業者選びに慎重さを求めるとともに、国交省が作った「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」の使用を呼びかけるなどの対策を取っていますが、どこまで効果があるかは分かりません。

老後の大切な資産を守っていただくためにも、サブリース契約について何か不安なことがありましたら、是非弁護士までご相談下さい。
(マツミヤ)

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